令和6年度 2月本会議 代表質問

私は、墨田区議会自由民主党・無所属の藤崎剛暉です。会派を代表して、区長及び教育長に、大綱4点にわたり質問いたします。
 質問に入る前に、1月1日に発災しました、令和6年能登半島地震で被災されました方々の一日も早い復興をお祈りすると共に、1月2日に羽田空港で起きました事故によりお亡くなりになりました海上保安庁の職員の方々のご冥福をお祈りいたします。

1 区長の施政方針を受けて

(1) 令和6年度財政の考え方、重点施策について
 質問の1点目は、区長の施政方針についてです。
 1点目は、令和6年度予算における財政運営の考え方と、重点施策についてです。
 山本区長は、令和6年度の予算案を、「つながりが織り成す『人』が輝くまち 明日の“すみだ”を共創する予算」と位置付けました。
 昨年度は、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の分類が第2類から第5類へと移行し、名実ともにポストコロナの転換点を迎えることとなりました。感染症が無くなったわけではありませんので、決して油断することはできませんが、隅田川花火大会をはじめ、様々なイベントが通常開催され、ようやく『日常』が戻ってきたと感じています。
 一方で、区民・事業者を取り巻く物価高騰の状況は継続しています。我々も会派として、来年度予算編成に向け、区民生活への悪影響を最小限にとどめるべく、区内事業者の事業継続のための支援拡大、教育・子育て施策を含む生活支援施策の継続・拡充等を要望しました。
 持続可能な自治体経営という観点から、より一層の行財政改革による財源確保及び歳出削減は必須でありますが、「明日の“すみだ”」を創り上げていくためにも、必要な予算については、大局的に判断し、大胆に支出していくことも重要であると考えます。
 感染症拡大時には、社会活動に制限がかかったことで、厳しい財政状況になることが危惧されていましたが、昨年度は、納税義務者の転入や、企業収益の改善等により、特別区民税や特別区交付金が増となっており、不安定な世界情勢による先行きの不透明感はあるものの、全体的に、歳入状況は良好であると認識しています。
 こうした中で、来年度の一般会計の予算規模は、1,300億円を超え、過去最大となっていますが、これは、人件費や物価の高騰を受けた自然増によるものであるのか、それとも、積極的に区政運営上の課題に取り組んでいくという意思に基づく予算編成であるのか。今後の人口や税収の見通しを含め、どのような考え方で予算を編成されたのか、区長の見解を伺います。
 また、令和6年度予算における重点施策として、「こどもまんなか すみだ」の実現に向けた取組、多様な「つながり」を地域の課題解決に活かす取組、未来を見据えたまちづくりの推進の3点を掲げられました。
 昨年度の2月議会において、我が会派の佐藤議員からの代表質問における提案を踏まえ、すみだ子ども・子育て応援プログラムが取りまとめられ、重点施策として来年度予算に反映されていることは、執行機関においても、私たち区議会の意見をしっかりと受け止め、取り組んでいただいているものとして、評価いたします。
 行政の政策・施策は、将来を見通しながら、時機を捉え、地域の課題を解決し、まちの発展へとつながるよう展開されていくことが重要です。
 改めて、区長はなぜこの3点を、「つながりが織り成す『人』が輝くまち 明日の“すみだ”を共創する予算」において、令和6年度の重点施策として位置付けたのか。見解を伺います。
 (2) DXに対する取組 区民サービスをどのように向上していくのか
 次に、DXに対する取組みについてです。
 区長は施政方針において予算編成の柱や主要な事業にDXを掲げています。公共施設予約システムの再構築やWEB口座振替受付サービスの導入など、区民サービスに直結する分野に予算を積極的に計上していることは評価しています。
 DXは区長が掲げる「区民が主役の窓口」を実現し、区民サービスを向上させるための重要な取組みであると考えます。今後さらに区民の利便性を向上させるためにどのように取り組んでいくのかについて、区長に答弁を求めます。
(3) CIO機能の強化を
また、DXは区の全ての分野に関わる包括的な取組みです。それぞれの取組みや使用するシステム等が個別最適になるのではなく、広い視野を持って全体を調整する必要があると考えます。
 現在、各事業でのDXの取組みが広がりつつあり、全体を統括する業務の質・量ともに必要性が高まっているものと考えます。この状況に対応するためには、最高情報責任者(CIO)兼最高情報セキュリティ責任者(CISO)及びそれを補佐する機能の強化が必要であると考えますが、区長の答弁を求めます。
(4) 公共施設整備基金等を今後、どのように活用していくのか
 次に、公共施設の改修等についてお聞きします。令和3年度に策定された第3次墨田区公共施設マネジメント計画では、本区公共施設の61%が築30年以上であり、今後の施設の維持・管理・更新費用として、年平均102億円を要することから、施設保有量の圧縮に努めるとともに、計画的な予防修繕による施設の長寿命化等に取組むこととしています。
また、墨田区学校施設長寿命化計画では、学校施設の目標使用年数を80年とすることで、改築更新期間の平準化を図ることとしていますが、そのような対策を講じても、今後、公共施設の更新需要が大幅に増加していくことは明らかです。
一方で、教育環境の向上や区民目線に立った公共施設の整備は大変重要な施策であり、可能な限り、迅速な対応が求められていると考えますが、このような公共施設の更新需要に対応するには、多額の財源が必要となります。
そのため、本区においても公共施設等整備基金の積み増しを図り、令和元年に約57億円だった同基金は、5年度当初には約176億円と大幅に増額され、最終補正においても、さらなる積み立てが予定されています。
今後は、同基金を積極的に活用しながら計画的かつ迅速な施設改修に取り組むべきと考えますが、公共施設等整備基金の活用方針について、区長の見解を伺います。

2 防災対策

(1) 能登半島地震でどのように支援をしたのか
質問の2点目は、本区の防災対策についてお聞きします。
第1は、被災地の支援についてです。
 本年1月1日午後4時過ぎに発生した、令和6年能登半島地震では、最大震度7を観測しました。
お正月を故郷(ふるさと)で迎えるために帰省した方もおられる中の甚大な被害に心が痛みます。
災害発生から1か月半が立ちますが、現在でも多くの方が支援を必要としている状況が続いています。
国は、早期に災害対策本部を立ち上げ、被災自治体の要請を待たず物資を緊急輸送する「プッシュ型支援」を行うほか、「暮らしの再建」に向けて、様々な形で被災自治体を支援しています。
また、東京都は被災地支援を表明して、被災者の住宅支援として都営住宅を提供するほか、人的支援等を行っています。
23区においても、各区がそれぞれのつながりのある自治体に、支援物資の輸送や義援金の募集などの支援をする動きがありました。
現在、東京都と連携する「特別区長会」が23区全体調整をして、一体的に支援していくことになったことは承知していますが、能登半島地震について、震災発生後から本区がどのような対応をしてきたか、お聞きします。
区のホームページ等で区の取組が発信されていることは承知しますが、被災地支援の考え方を含めて、今までの「被災地支援の取組」についてお答えください。
(2) 新耐震助成のできる限りの前倒しと周知を
次に新耐震基準の助成制度の拡充についてです。
昨年12月の地域産業都市委員会において、新耐震基準の木造住宅について報告がありました。
まず、今回の新耐震基準の助成制度の周知についてですが、区民の皆さんは、新耐震基準の建物なので安全だと思っている方も多数存在すると思います。新耐震基準においては、平成12年6月に「壁の配置バランス」や「接合金物」などが法律に規定されましたので、新耐震基準となった昭和56年から平成12年までに建設された木造住宅は、現行の耐震基準に満たない物件も多く、グレーゾーン時期と呼ばれています。
 これらのグレーゾーン時期の方々に対して、自分の住宅の耐震性について丁寧に説明することが大事だと思いますが、どのような周知を行う予定ですか。区長にご所見をお伺いします。
また、能登半島地震により、多くの方が犠牲となられました。これらの地区の中には木造密集地域もあり、墨田区内の木造住宅にお住いのみなさまも不安を抱えています。そこで、新耐震基準における助成制度の施行時期については、周知期間を設けた上で、令和6年10月からの施行を予定しているとのことですが、少しでも区民の皆様の不安を解消するために前倒しで行うべきと考えます。その場合、本助成制度の対象としている耐震診断や、補強設計・耐震改修または除却についての施行時期をどのようにすべきかも含め、区長のご所見をお伺いします。

3 産業振興について

(1) キャッシュレス決済促進・ポイント還元事業の継続について
質問の3点目は、本区の産業振興についてお聞きします。
 まず初めに、キャッシュレス決済促進・ポイント還元事業についてです。
この事業は、これまで、コロナ禍での区内事業者への緊急支援策として5回に渡り実施され、大きな成果を上げて来ました。この施策に対する区民の皆様の御意見のほとんどが好意的なものであり、是非またやって欲しいという声がある一方で、還元されたポイントが区外へ流出してしまうことや、ポイントの付与が後からなされるため、事業予算の余剰や不足が起こり得ることなど、予算の適正な執行を求められる行政が携わる事業としての課題もあるものと認識しています。
 我が会派としても、これまで、決算特別委員会や予算要望において、第6弾の実施を強く求めてきたところですが、課題も認識しており、これまでと全く同じ事業の実施を求めている訳ではありません。つまり、事業者支援になることは勿論として、当面の物価高騰等に関して、区民生活に寄り添った生活者支援にも繋がるような政策を求めるものです。
 そこで、区長に質問します。本事業の継続について、我が会派の要望を踏まえ、区としてどのように令和6年度予算案に反映させているのかを明確にお答えください。
さらに、本事業はこれまで、条件が整ってさえいれば誰でも同じポイント還元を受けられるといったものでした。これに対し区民の皆様からは、「墨田区の予算で実施しているのに区民が優遇されないことに不公平を感じる」という意見もあったと仄聞しています。
こうした御意見に対して、どのように対応していく考えなのかお答えください。
(2) 中小・小規模事業者の資金繰り支援について
次に中小・小規模事業者の資金繰り支援についてです。
昨年度、急激な原油価格や物価高騰等の影響により、緊急対策として実施した「原油価格・物価高騰等緊急対策資金」は、保証料や利子を、区の補助により、事業者負担を実質ゼロとする、一歩踏み込んだ融資制度として、厳しい状況におかれた多くの事業者にとって、事業継続のために大変役立った制度であったと認識していますが、緊急対策であったために実施期間は短く、令和4年度末をもって終了しました。
しかし、東京商工会議所墨田支部からの要望にもあるように、区内中小企業のおかれた環境は依然として厳しく、この間、必要な資材・燃料、人件費など、事業継続に必要な経営資源については高止まりが継続しています。
また、急激な物価高騰等の影響もあり、中小企業の多い本区においては、多くの業種で価格転嫁が十分に進んでいるとはいえず、加えて、今年から、運輸業、建築業界などで、所謂(いわゆる)「2024年問題」といわれる、時間外労働の上限規制が開始されることから、関連事業者の皆様は、さらに厳しい状況となることが想定されます。
区では、この間、景況(けいきょう)等の変化に対応し、適時適切に融資制度を構築してきたことは高く評価していますが、長期化する物価高騰等の影響などにより、現在も多くの事業者は未だ十分な体力を取り戻していない状況が継続していることから、事業者や業界団体等からの声である東京商工会議所の要望を真摯に受け止め、効果的な施策を早急に実施すべきと考えます。区長のご所見をお答えください。

4 教育・子育て支援

(1) 学校給食費徴収免除はどのようにしていくのか
  質問の4点目は、教育・子育て支援についてです。
1点目は、学校給食費徴収免除についてです。
いわゆる「学校給食無償化」について、特別区では、令和4年9月に葛飾区がその導入を表明し、以後、多くの区が続いて実施しました。
この間、山本区長は、議会において「学校給食法の中に経費負担の考え方が有ること、及びその意義や必要性は、義務教育全体の中で、国が制度や財源に責任をもち実施すべきもの」と答弁され、わが会派もこの考え方を支持してきた経緯があります。
一方、数年来の顕著な円安、原油高に加え、特に令和4年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、我が国の物価は近年見られなかったレベルで一層の高騰を続け、本区は数々の物価高騰対策を実施してきました。
このような状況の中で、学校給食費については、令和5年6月議会、代表質問において、わが会派が「当面の間、学校給食費は徴収しない取り扱いとすること」を提案し、区長は「子どもの健やかな育ちの支援と長引く物価高騰への対策として、提案内容は有効な方策であり、詳細な内容を検討した後、9月議会に提案する」旨の前向きな答弁が有り、9月議会においては、令和5年10月から令和5年3月分までの食材費を区費負担し、保護者負担をゼロとしました。この際の事業名称は「学校給食費無償化」ではなく、敢えて「学校給食費の徴収免除」としたことも、この時点の判断としては合理性が有り十分に理解できます。
アレルギーや宗教上の問題で全く喫食(きっしょく)できない子へのフォローや、一定期間不登校状態にあり給食を喫食していない子へのフォローもしている点で、評価すべきものと考えています。
一方、東京都では1月11日に、都知事は会見の中で「公立小中学校の給食費について、保護者向けの支援を行う自治体に、新年度から支援額の半分を補助する」旨を表明しました。この表明を受け、わが会派としてもこれが区の予算に確実に組み込まれるよう、積極的に働きかけていきたいと考えています。
総務省からは、1月19日に令和5年の1年間平均の全国消費者物価指数が発表され、これによりますと、前年同月比3.2%アップとなっています。また、令和5年12月分では、総合指数で前年同月比2.6%アップ、前月比0.1%アップとなっております。
また、政府は、令和6年の消費者物価予測について、総合で前年比2.5%アップとしていますが、いずれにしても、物価は依然として高騰状態にあり、多くの区民生活を圧迫していることに変わりはなく、そのような中で小学校で年間約5万、中学校で約6万にもなる区立学校給食費を臨時的な措置とは言え、私費負担ではなく区費で負担すれば、家計には大きな支援となり期待されているものと考えます。
そこで、区長に伺います。お示しされた令和6年度予算において、学校給食費免除事業はどのように対応されるのでしょうか?また、国の責任と権限により執り行うべき「学校給食費無償化」の実現に向けては、区長ご自身や区長会として、どのように取り組まれる予定でしょうか?
(2) 私立学校への支援の考え方は
質問の2点目は、「私立学校等への支援」についてです。
我が会派からは、区立学校における学校給食費について質問させていただいた令和4年6月議会での代表質問において、「私立学校等に就学する児童・生徒にも、区立学校の給食費と同等の金額を給付してはどうか」と提案したところ、「適切な支援のあり方を検討していく」という前向きなご答弁をいただき、さっそく9月議会で、対象者に給付金を支給するための補正予算を編成されました。知り得る限りでは、特別区の中で、区立学校以外に就学する児童・生徒への給食関連の支援を行っている区はなかったと認識していますので、先進的な取り組みであると考えます。
しかし、補正予算で提案された給付金額は一律に一人当たり年間3万円であったことから、その後の常任委員会で3万円という金額では区立学校における給食費支援との差が大きすぎること、かつ半年単位ではなく年間給付額であるとすると、区立支援との乖離額は一層拡大してしまうことを指摘させていただきました。
理事者側の答弁からも、確かに私立校等の給食費の金額は学校ごとに異なることや、そもそも中学校では給食ではなく弁当持参が大勢(たいせい)であることからは、誰もが納得できる適正額というのを算定することは難しいかもしれません。であるならば、端数はともかくとして区立校の学校給食費の金額にできる限り近い金額が、妥当とも言えます。
そこで、区長に伺います。お示しされた令和6年度予算において、私立校等への就学者の支援事業はどのように対応されるのでしょうか。また、継続される場合、1人当たりの給付金額について、いくらと考えているのでしょうか。
(3) 区内私立保育園で発生した事案について
次に、区内私立保育所で発生した事案について、何点かお聞きします。
先般、区内の私立保育所の男性保育士が、園児への性的虐待容疑で逮捕されるという事案が発生しました。前代未聞ともいえる卑劣な行為が、なぜ保育所内で起きたのか、想像もつきません。現在、警察において捜査中とのことですが、児童や保護者の気持ちを思うといたたまれません。今回の事件は、保育の実施主体である行政の立場として、この事案に対しどう向き合っていくのか、区長の率直な気持ちをお聞かせください。
次に、園児や保護者等に対するメンタルケアについてです。現在、通園している児童と保護者のみならず、卒園した児童とその保護者の方々も悲痛な思いをしていると思います。また、この園で働く保育士の方々も相当なショックを受けている中で、日々の通常保育に加え、この事案への対応等、相当な気苦労をされていると伺っています。そこで、お聞きしますが、この保育所に関わる様々な方々への心のケアを早急に行う必要がありますが、区としてどのようなケアをしていくのか、具体的にお示しください。
次に、再発防止策についてです。このような事案が今後、二度と起きないよう、様々な視点で考えていかなければならないと思いますが、区としての再発防止策はどのように考えているのか、お示しください。
最後に、区内で働く男性保育士へのフォローについてです。今回の事案を受けて、男性保育士に預けたくないなど、男性保育士に対する風評被害が想定されます。実際には、真剣に保育に向き合っている素晴らしい男性保育士も多くいますし、園児や保護者から信頼のある男性保育士も多いと聞いています。今回の事案受けて、男性保育士に対してのフォローはとても重要だと思いますが、区として考えていることがあればお聞かせください。
(4) 部活動の地域移行について
最後に、部活動の地域移行について伺います。
 墨田区では、令和5年度、学校部活動の地域移行のモデル試行として、運動部では、剣道部とフットサル部を、文化部では、英語部とエンタメ部の取組が開始されました。また、総合型地域スポーツクラブとの連携として、スポーツドアあずまが吾嬬第二中学校のバドミントン部で、両国倶楽部が両国中学校のバレーボール部での指導を令和6年1月から開始したと聞いています。国や都の方針を踏まえながら、また、他地区での取組等も参考にしながら、墨田区ならではの取組を進めてきたことと思います。一方で、平日の各学校で行っている部活動については部活動指導員が区内で2名しかいないなど、地域移行が進んでいるとはいえない状況です。令和5年度を終えるにあたり、今年度の取組の成果と課題、今後のこの部活動の地域移行をどのように進めていくのか、教育長の所見を伺います。
以上で墨田区議会自由民主党・無所属の質問を終わらせて頂きます。
最後までご清聴頂きましてありがとうございました。

区長答弁

自民党 藤崎議員

 

 

                                             

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