【財政委員会で質疑 ~東京都の財政状況と地方交付税制度が抱える構造的な課題について~】
本日、東京都議会財政委員会において質疑を行いました。
今回は、「令和7年度東京都年次財務報告書」を踏まえ、東京都の財政状況や、これまでの財政再建に向けた取組、国が進めようとしている税源の偏在是正、さらには地方交付税制度が抱える構造的な課題について、主計部長に質問しました。
今回の質疑では、大きく4つの点について取り上げました。
■ ① 東京都の財政状況と財政指標について
令和7年度決算における東京都の経常収支比率は82.4%、公債費負担比率は3.4%となっており、いずれも前年度の都道府県平均である92.9%、15.4%を下回っています。
経常収支比率は、財政の弾力性を示す指標であり、公債費負担比率は、地方債の償還が財政にどの程度の負担を与えているかを示す指標です。
これらの数値から、東京都は他の道府県と比較して、財政の弾力性が高い状況にあることを確認しました。
一方で、現在の財政指標が良好であることをもって、東京都の財政に余裕があると捉えることは適切ではありません。
都税収入は景気変動の影響を受けやすく、今後も少子高齢化に伴う社会保障関係経費の増大や、首都直下地震をはじめとする大規模災害への備え、都市インフラの維持・更新など、多額の財政需要が見込まれています。
将来にわたり、都民に必要な行政サービスを安定的に提供していくためにも、引き続き、強固で弾力性のある財政基盤を維持していくことが重要です。
■ ② 過去の財政危機と財政再建に向けた取組について
東京都の財政は、決して初めから恵まれた状況にあったわけではありません。
バブル経済崩壊後、都税収入が大幅に減少し、平成10年度決算では1,000億円を超える実質収支の赤字を計上するなど、財政再建団体への転落の危機に直面しました。
こうした厳しい状況の中、東京都は、職員定数の大幅な削減や徹底した事業の見直し・再構築など、財政構造の転換に取り組んできました。
その後も、事業評価制度を通じて、直近10年間で累計約1兆800億円の財源を確保するとともに、都債残高の縮減や基金残高の確保など、財政対応力の強化に努めてきました。
現在の東京都の財政基盤は、こうした長年にわたる不断の努力によって築かれてきたものです。
今回の質疑では、過去の財政危機から得られた教訓を忘れることなく、今後も健全な財政運営を続けていくことの重要性を確認しました。
■ ③ 地方交付税制度が抱える構造的な問題について
現在、国においては、いわゆる「税源の偏在是正」の名の下に、東京都の税財源を対象とした新たな措置が検討されています。
昨年12月に取りまとめられた令和8年度与党税制改正大綱には、地方法人課税や特別区の土地に係る固定資産税を対象とした見直しが盛り込まれ、本年末の令和9年度税制改正などにおいて結論を得ることとされています。
こうした議論が進む一方で、今回の年次財務報告書では、現行の地方交付税制度が抱える構造的な問題についても詳しく分析されています。
地方交付税は、国が全国一律の基準によって算定した行政サービスに必要な経費と、標準的な税収入との差額を補う仕組みとなっています。
そのため、自治体が企業誘致や産業振興などに取り組み、税収を増加させたとしても、その分、地方交付税が減額されるため、新たに活用できる財源の増加に十分につながらないという問題があります。
つまり、自治体が自らの努力によって地域経済を活性化させても、その成果が地域に十分還元されにくい構造となっているのです。
本来、地方自治のあるべき姿は、それぞれの自治体が地域の特性を生かし、地域経済の活性化や成長に向けた投資を行い、その成果を新たな投資や住民サービスの充実につなげていくことだと考えます。
自治体の創意工夫や努力が適切に報われ、地域のさらなる成長につながる仕組みを構築していく必要があります。
■ ④ 地方交付税の原資と過去の借入金の前倒し償還について
地方交付税制度には、もう一つ大きな課題があります。
地方交付税は、所得税や法人税、消費税などの国税の一定割合等を原資として、全国の自治体に配分されています。
令和7年度と令和8年度の2年間で、国税収入の増加に伴い、地方交付税の原資は約7.4兆円増加しています。
しかしながら、国は、この増加分の約6割に当たる約4.2兆円を、国の特別会計における過去の借入金の前倒し償還に充てています。
全国の自治体が、少子高齢化への対応や社会保障関係経費の増大、公共施設やインフラの老朽化対策、防災・減災対策など、様々な財政需要を抱えているにもかかわらず、増加した交付税原資が地方の財源の充実に十分につながっていない状況にあります。
借入金の償還自体は将来の財政負担を軽減するものですが、地方の財政需要が増大している中で、増収分をどのように活用していくのか、改めて検討する必要があると考えます。
今回の答弁では、東京都としても、国税収入が大きく増加している今こそ、各自治体の独自の取組を後押しできるよう、地方交付税制度の見直しに取り組むべきであるとの考えが示されました。
また、今年度から行われている「国と東京都の協議会」などの場を通じて、国に対して都の考えを主張するとともに、他の自治体にも共感を広げながら、制度の見直しに向けて働きかけていくとの答弁がありました。
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■ 東京都の税財源を対象とした「偏在是正」ではなく、地方税財政制度の抜本的な見直しを先日の我が会派の代表質問に対する小池知事の答弁では、東京都を除く全国46道府県において、税収が44%増加しているにもかかわらず、地方交付税を含めた一般財源の伸びは、わずか8%にとどまっていることが示されました。
地方税収が大幅に増加しているにもかかわらず、自治体が実際に活用できる財源が十分に増えていないという現状は、地方交付税制度の在り方を考える上で、極めて重要な問題です。
全国の自治体は、それぞれの地域において多様な行政課題を抱えており、それに伴う財政需要も広範に存在しています。
国が全国一律の基準によって算定した財政需要だけで判断するのではなく、各自治体が抱える実際の財政需要を的確に把握し、地方全体の税財源を充実させていくことが重要だと考えます。
また、今回の年次財務報告書では、こうした地方交付税制度の問題点について、これまで以上に踏み込んだ分析が行われています。
客観的なデータを活用し、東京都の財政状況や地方税財政制度が抱える課題について、都民はもとより、国や全国の自治体に対して広く発信していくことも必要です。
東京都の財政が健全な状況にあるのは、これまでの財政再建に向けた取組や、長年にわたる不断の努力の積み重ねによるものです。
そうした努力の成果を十分に考慮することなく、東京都の税財源を対象とした新たな偏在是正措置を講じることには、反対です。
東京都の税財源を他の自治体に移転することだけでなく、地方交付税制度が抱える構造的な問題を見直し、全国の自治体がそれぞれの地域の実情に応じた施策を主体的に展開できる制度を構築することが重要だと考えます。
それぞれの自治体が創意工夫によって地域経済を活性化させ、その成果が税収の増加につながり、さらなる投資や住民サービスの充実へと還元される。
こうした好循環を生み出すことが、地方の活力を高め、ひいては日本全体の持続的な成長につながるものと考えています。
年末に向けて、令和9年度税制改正の議論が本格化します。
都民生活を支える貴重な税財源を守るとともに、地方自治の根幹である自主財源の確保と、地方全体の税財源の充実に向けて、引き続き議論を深めてまいります。

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